11月の小さな勇者たち
11月1日。
一般の方には、殆ど知られていないこの日。
都内のいたるところで、一目でそれとわかる親子が、小学校に吸い込まれていく。
その中は、数百人が集まり、緊張感と、それを打ち消そうとするざわつきがこれまで経験したことのない雰囲気を作り出している。
15分程度まっただろか。
慣れた口調で、今日の流れを説明する案内が始まる。
子供達は1人づつ番号を呼ばれて引率の先生のもとに、並んで行く。
ここに集まった多くの親子は、この1年、いや中には3年以上この日の為に努力してきた。努力なんて言う生優しい言葉ではないかもしれない。すべては、この日の為に。
引率の先生の後に並んで講堂から出ていくその後ろ姿。小さくても、みんな逞しい。小さな勇者たち。『頑張れ!』心の中の精一杯叫んだ。
これでれることは、全てやったと自分を納得させ、持参した文庫本を手にしたものの、頭の中は、この1年の出来事が走馬灯のようによみがえってきた